After EffectsはこれまでもEQやリバーブなど、基本的なオーディオエフェクト自体は搭載されていました。
ただ実際の現場では、ナレーションの音量調整やノイズ処理といった“仕上げに近い作業”は、Premiere ProやAuditionに任せるのが一般的でした。
理由はシンプルで、ダイナミクス処理やノイズ対策が弱く、After Effects単体では完結しにくかったからです。
今回は、新しく追加された「歪み」「コンプレッサ」「ゲート」の3種類のエフェクトを、初心者でも使えるレベルまで噛み砕いて解説します。
歪みエフェクト(Distortion):エモーショナルな演出に
歪みエフェクトは、音をあえて崩すことで質感を変えるエフェクトです。
コンプレッサのように「整える」のではなく、演出として音を作るためのものになります。
例えば、軽く歪ませることで声に厚みや温かみを加えたり、強めにかけることでラジオ風のざらついた音にすることもできます。

- ショート動画の演出
- ラジオ風・Lo-Fi風の加工
- 強調したいセリフの加工
ミックスを下げると自然に仕上がる
コンプレッサエフェクト(Compressor):聞き取りやすさを整える
コンプレッサは、今回の中でも最も実用性が高いエフェクトです。
一言でいうと、「大きい音だけを抑えて、全体のバランスを整える」役割を持っています。
ナレーションをそのまま使うと、話している中で声の大きさにムラが出ることがよくあります。強調した部分だけ大きくなったり、逆に小さくて聞き取りづらい部分が出たりする状態です。
コンプレッサを使うと、このバラつきを自動で整えてくれるため、音量をいじらなくても自然に聞きやすい状態を作ることができます。

- ナレーション動画 → ほぼ必須
- インタビュー音声 → 必須レベル
- BGM → 軽くかけるとまとまりが出る
上げすぎると「ブツ切り感」が出る
Gate(ゲート):ノイズをバッサリ切り捨てる
ゲートは、一定以下の音量を無音にすることでノイズを除去するエフェクトです。
主に、喋っていない合間に入る「サー」という環境ノイズをカットする用途で使われます。
ただし、音声が流れている最中のノイズを除去することはできません。あくまで「無音部分を整理する」ためのエフェクトと考えておくのがポイントです。
ゲートは便利な反面、設定を上げすぎると不自然になりやすいエフェクトでもあります。特にしきい値を高くしすぎると、声の語尾などが途中で切れてしまい、「ブツブツと途切れるような音」になることがあります。
そのため、ノイズが消えるギリギリのラインを見つけるのが重要です。

- ナレーション録音(ほぼ必須)
- ノイズの多い環境音声
- 無音部分の整理
コンプレッサやEQと違い、「音を整える」のではなく「不要な部分を切る」処理です。
After Effectsの新オーディオエフェクトは使うべき?
今回追加されたオーディオエフェクトによって、After Effectsでもナレーションの整音や簡単なノイズ処理ができるようになりました。
ただし、すべての人にとって必須というわけではなく、作業スタイルによって使いどころは変わります。
まず前提として、After Effects単体でも音声処理はある程度完結できるようになりましたが、編集効率や最終的な音作りまで含めると、依然としてPremiere ProやAuditionと併用するワークフローが一般的です。
そのうえで、「どこまでAfter Effectsでやるか」を基準に判断するのが現実的です。
After Effectsで使うメリットがある人
- After Effects内で作業を完結させたい
- Premiereに持っていく前に下処理を済ませたい
- ナレーションの聞きやすさを最低限整えたい
コンプレッサとゲートは特に効果が大きく、導入する価値があります
無理に使わなくてもいい人
- すでにPremiere ProやAuditionで音声処理している
- 音質やミックスにこだわった編集をしている
- 音声編集を別工程として切り分けている
従来のワークフローのままで問題ありません
実務的な結論
After Effectsの新オーディオエフェクトは、「音声処理を完全に置き換えるもの」ではなく、下処理や簡易調整を効率化するための機能として捉えるのが適切です。
ナレーションの音量調整や軽いノイズ処理であればAfter Effects内で完結させ、最終的な仕上げは他ソフトで行う。この使い分けが、現時点では最も効率的です。
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