Adobe Premiere Proには、動画編集の効率を飛躍的に向上させる「AI技術」が次々と搭載されています。
AIを活用することで、編集作業の時短だけでなく、よりクリエイティブな映像制作が可能になります。
本記事では、Adobe Premiere Proに搭載されている最新のAI機能について紹介・解説します。
本記事では、2025年4月5日現在のAfter Effectsで利用できる最新のAI機能をまとめています。

Premiere ProのAI機能とは?

Adobe Premiere ProのAI機能は、Adobeが開発した「Adobe Sensei」という人工知能を基にしています。
これにより、従来手動で行っていた多くの編集作業を自動化でき、編集者がよりクリエイティブな部分に集中できるようになります。
AIを活用することで、特に時間がかかるタスクや面倒な作業が効率化され、作業のスピードアップだけでなく、品質の向上も期待できます。
AI技術の背景と役割
Adobe Senseiは、機械学習(Machine Learning)と深層学習(Deep Learning)の技術を駆使して、ユーザーの操作を予測し、映像編集を補助します。
Premiere Proに組み込まれたこれらのAI機能は、編集作業の時間を短縮し、直感的で簡単な操作でプロ並みの映像が作成できるようになります。
たとえば、シーン検出、カラー補正、音声処理、トリミング、リフレームなどの機能は、AIが自動で最適な処理を行い、従来よりも迅速かつ精度の高い編集を可能にしています。
AIが変える編集作業の流れ
従来、動画編集は時間と労力を要する作業ですよね。
映像のカット、色補正、音声処理など、各工程で専門知識やスキルが必要でした。
しかし、Premiere Proに搭載されたAI機能により、これらの作業が劇的に簡単に自動で実行されるようになっています。
たとえば、AIは映像内の被写体を認識して自動でカットを入れたり、音声のノイズを減らすことでクリアな音質を実現したりします。こうした機能によって、編集者は短時間で高品質な映像を作り上げることができるようになったのです。
さらに、AIは個別の編集作業に加え、全体的な映像のスタイルやトーンを統一することにも役立ちます。カラーグレーディングや映像のムード作りにもAIが活躍し、これまで人力で行っていた微調整を短時間で完了させてくれます。
Premiere ProのAI機能一覧
アドビが提供する人工知能(AI)と機械学習(ML)の技術「Adobe Sensei(アドビ センセイ)」が活用されているPremiere ProのAI機能を紹介!
生成拡張機能(Ver 25.2で搭載) NEW

生成拡張機能は、AI技術を活用して映像や音声クリップの長さを自然に延長してくれる機能です。
ビデオクリップの場合、最大2秒クリップを延長することができ、延長した部分はAIが自動で映像を生成してくれます。
映像の尺があと少しだけ足りないというときに非常に便利です。
試しにどんな感じになるのか以下の映像を作ってみたので確認してみてください。「生成拡張機能が作った映像」と表示されている2秒間の映像がAIによって生成された映像になります。
バックグラウンドのアンビエントサウンド(環境音)や効果音についても最大10秒まで延長することができます。※音楽には非対応。
メディアインテリジェンスと検索パネル(Ver 25.2で搭載) NEW

「メディアインテリジェンス」機能は、画像、話し言葉、またはメタデータ(撮影日、場所、カメラのタイプなど)が埋め込まれたコンテンツに基づいてメディアを同時に検索してくれる機能で、映像素材から必要なショットを素早く見つけることができます。
ただし、現在のところ英語の検索のみサポートされています。
キャプション翻訳(Ver 25.2で搭載) NEW

キャプション翻訳は、「文字起こし」機能を使ってキャプションを生成後、そのキャプションを多言語に自動翻訳してくれる機能です。
複数言語へ同時に変換することも可能で、動画を多言語展開したい方に役立つ機能となっています。

自動文字起こし(音声テキスト変換)

AIを活用した自動文字起こし機能により、動画の音声を瞬時にテキスト化できます。生成されたテキストをもとに字幕を作成することができるので、効率よく字幕付き動画を作成することができます。
- 英語
- 英語(英国)
- 簡体字中国語(標準中国語)
- 中国語(繁体字)
- 広東語(繁体字)
- スペイン語
- ドイツ語
- フランス語
- 日本語
- ポルトガル語(EU)
- 韓国語
- イタリア語
- ロシア語
- ヒンディー語
- ノルウェー語
- スウェーデン語
- デンマーク語
- オランダ語(オランダ)
比較的制度の高い文字おこしができますが、完璧ではありません。間違って生成されている部分は、「アクティブなテキストを編集」ツールを使って直接入力して修正することができます。

文字おこしをした後は、キャプションを自動生成することができるので、字幕の作成を非常に効率的に行うことができます。

文字おこしベースの編集機能を使用すれば、テキストだけでカット編集が行えるので、インタビュー動画などのラフカットを効率化することができます。

- YouTube動画の字幕作成
- インタビュー動画の時短編集
- 文字おこしテキストでワード検索して特定の個所に素早くアクセス
オートリフレーム

オートリフレームは、InstagramやTikTokなどのSNS向けの動画を作成する際に便利な機能です。
16:9のアスペクト比動画をAIが自動で分析し、縦長(9:16)や正方形(1:1)に最適な構図でトリミングしてくれます。
単純にアスペクト比を変えるだけでなく、映像のメイン(例えば人物など)をAIが識別子し、それをフレームの中央に収まるように自動で調節してくれます。
- YouTube動画(16:9)をInstagram ReelsやTikTok向けに変換
シーン編集の検出

シーン編集の検出は、長尺の動画からシーンの切り替わりを自動で検出し自動的にシーンをカットしてくれます。映像を再編集したりするときに便利です。
手動でカットを探す手間が省けるので、編集作業を効率化することができます。
カット以外にも、サブクリップとしてビンに保存したり、クリップマーカーを追加することもできます。
- インタビューやイベント映像の編集
- 映像の再編集やカット作業の時短
スピーチを強調

「スピーチを強調」は、音声をクリアにし、背景ノイズを削減する機能です。特に環境音が入りやすいロケ撮影や、マイク品質が低い場合に有効です。
- 録音環境が悪い場合でも高品質な音声に改善
- ナレーションやインタビュー動画の音質向上
環境音とナレーションを合成してテスト用音源を作成し、この機能をテストしてみました。以下を再生して効果を確認してみてください。
スピーチを強調 適用前
スピーチを強調 適用後
ミックス量を最大(設定値:10)にしているため、音声は少し歪んでいますが、バックノイズは消えていることがわかります。
自動カラー補正

自動カラー補正は、「Adobe Sensei ML テクノロジー」を使用して、ワンクリックでカラー補正を自動で行えます。
露光量、ホワイトバランス、コントラストなど、フッテージの外観を向上させる基本的な色補正を自動で行うので、時間をかけずに映像を美しく仕上げられます。
- 映像の色味を統一する
- 撮影環境による色ムラを自動補正
実際に自動カラー補正を適用すると以下のようになります。
オーディオカテゴリのタグ付け

「オーディオカテゴリのタグ付け」は、オーディオクリップを自動的に分類する機能です。
この機能を使うと、オーディオを「ダイアログ」「ミュージック」「SFX」「アンビエンス」の4つのカテゴリに自動で振り分け、インタラクティブなバッジがクリップ上に表示されます。
そのバッジをクリックすることで、エッセンシャルサウンドパネルの最も関連性の高いツールに即座にアクセスできるようになり、編集作業をスムーズに進めることができます。
以下の赤枠のアイコンが自動分類されたバッジになります。

リミックス

リミックス機能は、曲の構成を分析しながら適切なカット&繋ぎを行い、ビデオの長さに音楽を自動調整してくれる機能です。
従来のように「手動でトリミングしてフェードを調整する」手間を省きつつ、自然なつなぎ目で違和感なく編集できるのが特徴です。
リミックスツールを使って音楽の終端エッジを、動画の終端エッジにドラッグするだけの簡単操作!

カラーマッチ

カラーマッチ機能は、AIを活用して異なるクリップ間で色調を自動的に調整し、統一感のある映像を作成できる機能です。
これにより、異なるカメラや撮影条件で撮影された映像を一貫した色調に簡単に合わせることができます。

自動ダッキング

自動ダッキング機能は、BGMの音量を自動で調整してくれる機能です。
特に、ナレーションやセリフが流れる部分では、BGMの音量を下げ、セリフが終わると元の音量に戻す処理を自動で行ってくれます。
この機能を活用することで、手動でキーフレームを打つ手間を省きながら、より聞き取りやすいオーディオミックスを作成できます。
以下は、スピーチ音声に対してBGMに自動ダッキングを適用した状態です。

上のスピーチ音声の空白部分だけ、下のBGMの音量が上がっていることがわかります。
モーフカット

モーフカットは、インタビューや会話シーンなどで、ジャンプカットを滑らかに繋ぐためのビデオトランジションです。
ジャンプカットとは、時間的に前後が飛ぶようなカットのことを指しますが、これを使うと、視覚的に不自然な動きや間が気になる場合があります。
モーフカットは、AI技術を活用して、カット間の顔の動きや表情を分析し、シーンが繋がるように自動的に補完します。
これにより、会話の流れが途切れたような印象を与えることなく、自然に見せることができます。
実際の適用例は以下の動画で確認できます。
Premiere ProのAI機能を活用するメリット

編集スピードが格段に向上
AIを活用することで、手作業では時間がかかる工程を自動化でき、編集作業が圧倒的に効率化されます。
プロ並みの仕上がりを簡単に実現
AIの補正機能を活用すれば、専門的な知識がなくても、クオリティの高い映像を作成できます。
クリエイティブな作業に集中できる
反復作業をAIに任せることで、より表現力のある編集や演出に時間を使えるようになります。
まとめ:Premiere Pro AI機能を活用して作業効率をアップ!
Adobe Premiere ProのAI機能を活用すれば、編集作業の手間を減らしながら、よりクオリティの高い映像制作が可能になります。
今後もAI技術の進化とともに、より便利な機能が追加されることが期待されます。
ぜひ、Premiere ProのAI機能をフル活用して、編集作業を効率化しましょう!

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